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東京高等裁判所 昭和44年(ネ)2399号 判決

控訴人 交友自動車株式会社

右代表者清算人 大浦史朗

右訴訟代理人弁護士 武田峯生

被控訴人 久下下

〈ほか一名〉

右両名訴訟代理人弁護士 丸山一夫

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は原判決を取り消す、被控訴人らの請求を棄却する、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とするとの判決を求め、被控訴人ら代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張は、控訴代理人において別紙(一)のとおり、被控訴人ら代理人において別紙(二)のとおり、それぞれ陳述したほか原判決事実らん記載のとおりであるから、ここにこれを引用する(但し原判決五枚目裏一〇行目「第五証拠関係」とあるのを「第五被告の主張に対する原告らの反論」と訂正する)。

立証≪省略≫

理由

当裁判所は被控訴人らの本訴請求は原判決認容の限度で正当として認容すべきものと判断するものであり、その理由は左のとおり附加するほか原判決の理由と同一であるから、これを引用する(但し原判決九枚目表七行目「任意の弁済に応じない」とあるのを「任意の弁済に応ぜず、不当に抗争する」と訂正する)。

控訴人の当審における主張一はなんら右引用の原判決の理由に消長を来たすべきものではない。レンタカーの利用者に対しレンタカー業者がしかくたやすく自動車を貸与するのは、本来自動車の保有者として運行支配の責任を負うべき立場にありながら、これを自己の危険においてしかく安易に処理しているというだけであって、それ自体免責の事由とするに足りない。同主張二はレンタカーに責任を負わせようとするのは立法政策と法理論を混同するものであるとするが、なんら理由がない。自賠法に内在する立法政策が同法の解釈をレンタカーの責任についても積極に認めしめるよう働くのであって、その間なんら立法に属する事項を解釈の名において施行しようとするものではない。所論は採用しがたい。

よって本件控訴は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九五条第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長判事 浅沼武 判事岡本元夫、同田畑常彦はいずれも転任につき署名押印することができない。裁判長判事 浅沼武)

〈以下省略〉

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